小杉 健治 「父からの手紙」

 このミステリーの感想文を書くのは難儀だなぁ。


 はっきり言おう!



 あんまり面白くなかった。



 しかし、途中で止めることも出来なかった



 この物語、例えるなら、0.5歩進んで0.49歩下がるような、それぐらいのんびりした進捗。
 ちょっとイライラする。

 これさぁ、さっきも読んだよ、と突っ込む突っ込む。

 ほぼ変わらない思考の繰り返し。
 もうちょっとスマートに、別の表現で描けないものかね。350頁ぐらいまで、同じような話と思考が続く。全体の90%だ。つまり、長いんだわ。一つ一つの文章は短くて、あれれ?、というぐらい淡泊なんだけどね・・・
 そうそう、読解力はそれほど必要ない。

 図書館で、「気付き」の新聞記事を見つけるなんて、無理があるだろう・・・。もうちょっと、仕掛けがなかったのかなぁ・・・

 ノイローゼで焼身自殺?

 ・・・なんて新聞記事で、書く?

 書かないよね。


 ま、ま、批判はこれぐらいにして、最後の2頁には少しばかり涙が出た。
 僕は50歳の娘に宛てた手紙なんて、想像が出来ないけど、きっと永遠の別れを前に、つまり自分の死を前に「僕らにとって最高の宝物は君」という感覚は何とか想像できる。

★★★
 90年代中頃に君が生まれてきたわけだけど、実は、僕は率直に喜べなかった。正直すぎる書き方だけど、本心なんだ。だって、大好きな彼女の半分以上の時間と大部分の愛情が、君に取られてしまうわけだからね。
 でもそんなことが頭の中にあったのは、ほんの一瞬。
 君があまりに可愛くて、まさに、もう眼の中に入れても痛くないほどだったから。座布団に横たえられた小さな身体、ミニチュアの手、真ん丸の足を見て、何て可愛いんだろう、と思わずにいられなかった。そうこうするうち、ハイハイからつかまり立ちし、よろよろと2本足で歩きだした。小さい子は重心が上にあるから、すぐに転ぶ。頭をぶつけて泣いたっけ。顔を真っ赤にして泣くわけだ。僕は仕事の局面と重なってその頃の育児にはほとんど時間が取れなかったけど、可愛くて可愛くてね。かみさんは、君がよく泣くものだからノイローゼ気味にはなってたけど、今となっては良い思い出じゃないかな。
 数年経って、笑顔がとっても可愛い少女になって、反抗期が来るかと思いきや、ずっとダディーズガール、仲良くしてくれている。
 そういえば、この前、キャッチボールしたら、ずいぶん、上手くなってるじゃん。女子とは思えないよ。
 聞けば、何だって!元野球部の巨人ファンの彼氏がいるんだって!。

 おいおい。

 「そいつとは別れろ!」

 ダメだよ、巨人ファンの彼氏なんて。そいつ以外だったら誰でも良いからさ。

 もっとも、君は大変偉いことに、ヤクルトファン。褒めてつかわそう。


★★★
 娘っていうのは、なんだかんだ、可愛いもの。
 本書で描かれるお父さん達の出来事には、納得感ゼロだけど、手紙を送り続ける父の姿勢には頷ける。



父からの手紙 (光文社文庫)
光文社
小杉 健治

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